月別アーカイブ:2019年10月
湯口行政書士事務所

『私が亡くなった後、この子にすべての手続きを任せるのは難しい』――限られた時間の中で作成した遺言書と死後事務委任契約

「私が亡くなった後のことを、今のうちに決めておきたいんです」

ご相談をくださったのは、90代の女性でした。

女性には、障害のあるお子様がいらっしゃいます。

ご自身の体調にも不安を抱えておられ、

「私が亡くなった後、この子にいろいろな手続きをさせるのは難しいと思うんです」

とお話しくださいました。

相続のことだけではありません。

亡くなった後には、さまざまな手続きが発生します。

死亡届の提出をはじめ、葬儀や火葬、役所への届出、契約関係の整理など、その内容は多岐にわたります。

ご本人にとって一番の心配は、

「自分が亡くなった後、お子様が困ってしまうこと」

でした。


遺言・任意後見・死後事務委任を組み合わせて準備を進めることに

ご本人の判断能力はしっかりしており、ご自身の意思をきちんとお話しになることができました。

そこで、今後の状況も見据えながら、

・遺言
・任意後見契約
・死後事務委任契約

を組み合わせて準備を進めることになりました。

遺言によって、ご自身の財産についての意思を残す。

そして、将来判断能力が低下した場合には任意後見による支援につなげる。

さらに、亡くなった後に必要となる手続きを死後事務委任契約によって専門家に託しておく。

できる限りお子様の負担を少なくするため、一つひとつ準備を進めていました。


しかし、契約締結を目前にして突然の入院

ところが、手続きを進めている途中で状況が変わりました。

契約書類の作成も進み、あとは正式な手続きを行う段階というところで、ご本人が入院されることになったのです。

ご高齢で、がんの末期でもあることから、これまで予定していた形で、すべての契約を締結することは時間的にも難しい状況になりました。

「できることを、今できるうちに進めなければならない。」

そう考え、改めてご本人の状況とお気持ちを確認しました。


すべてを予定どおりに進めるのではなく、「今できること」を優先

今回、最終的に作成することになったのは、

自筆証書遺言
死後事務委任契約

でした。

本来予定していた任意後見契約については、締結まで進めることができませんでした。

しかし、だからといって何もしないまま時間を過ごすのではなく、

今の状況で、ご本人の意思をできる限り確実な形に残すにはどうすればよいか

を考えました。

その結果、遺言書によって財産についての意思を残し、死後事務については専門家へ委任するという方法を選択しました。


「自筆証書遺言」だからこそ、今の状況に対応できた

自筆証書遺言は、遺言者ご本人が法律上の要件に従って作成する遺言書です。

今回のように、入院によって当初予定していた方法での手続きが難しくなった場合でも、ご本人の意思能力や体調などを確認しながら、その時点で可能な方法を検討することができます。

もちろん、自筆証書遺言には守らなければならない形式があります。

内容だけではなく、作成方法を誤ると、せっかく残した遺言書が問題になる可能性もあります。

そのため、ご本人の意思を丁寧に確認しながら、必要な内容を整理していきました。


死後の手続きは、遺言書だけでは対応できないことがあります

遺言書を作成すれば、すべてのことが解決するわけではありません。

例えば、亡くなった後には、

・葬儀や火葬に関する手配
・各種契約の整理
・役所などへの届出
・関係機関への連絡

など、財産の相続とは別の手続きも必要になります。

こうした「亡くなった後の事務」をあらかじめ専門家に託しておくために利用できるものの一つが、死後事務委任契約です。

今回も、お子様にすべてを任せるのではなく、専門家が対応できる部分はあらかじめ引き受けることで、お子様の負担を少しでも減らせるよう準備しました。


任意後見契約を締結できなかったことで生じる課題もある

一方で、今回のように任意後見契約まで締結できなかったことによる課題もあります。

任意後見受任者としての立場があれば、契約内容に基づいてご本人の支援を行い、亡くなられた際にも状況に応じた対応を進めることができます。

しかし、任意後見契約を締結できなかった場合、専門家が当然にご本人の死亡に関するすべての手続きを行えるわけではありません。

例えば、死亡届の提出についても、誰が対応するのかを現実的に考える必要があります。

今回は、お子様について、死亡届の提出など一定の手続きを行う能力はあると判断しました。

そのため、

「お子様にできることはお願いし、専門家が対応すべきことは専門家が担う」

という役割分担を考えることになりました。


「すべてを代わりにやる」ことだけが支援ではない

障害のあるお子様がいらっしゃる場合、

「本人には何もできないのではないか」

と考えてしまうご家族もいらっしゃいます。

しかし、実際には、できることと難しいことは、お一人おひとり異なります。

今回も、お子様がすべての手続きを一人で行うことは難しい一方で、死亡届の提出など、一定の手続きについては対応できると考えられました。

だからこそ、

すべてを専門家に任せるのではなく、お子様自身にできることも大切にしながら、難しい部分を専門家が支える。

そのバランスを考えることも、今回の大切な支援の一つでした。


「もっと早く準備しておけば」とならないために

今回のご相談では、当初から将来を見据えた準備を進めていました。

しかし、人生では、予定どおりに進められないこともあります。

元気だった方が突然入院することもあります。

手続きを考えている間に、体調が大きく変化することもあります。

だからこそ、

「まだ大丈夫だから、もう少し先でいい」

ではなく、判断能力がしっかりしているうちに準備を始めることが大切です。

すべてを一度に決める必要はありません。

まずは、

「自分が亡くなった後、誰が困るのか」
「どんな手続きが必要になるのか」
「自分にできる準備は何か」

を整理することから始めることができます。


同じようなお悩みをお持ちの方へ

○障害のある子どもの将来が心配
○自分が亡くなった後の手続きを子どもに任せられるか不安
○遺言書を作っておきたい
○死後の手続きを誰かに任せたい
○任意後見や死後事務委任について相談したい
○病気や高齢のため、時間が限られていると感じている

そのようなお悩みをお持ちでしたら、早めにご相談ください。

今回のように、当初予定していたすべての準備を進めることが難しくなった場合でも、その時点の状況に合わせて、できる限りの方法を一緒に考えることはできます。

当事務所では、制度を一律にご提案するのではなく、

「今、この方に何が必要なのか」
「今の状況で、何ができるのか」

を丁寧に考えながら、ご本人とご家族の将来に寄り添ったお手伝いをしています。

限られた時間の中でも、ご本人の想いを形にするために。

一つひとつの状況に向き合いながら、できる限りの準備を一緒に考えていきます。

 

(2026年8月21日)



叔母が亡くなっていた――“兄弟姉妹だけの相続”で、何から始めればいいかわからなかった事例

「叔母が亡くなっていたんです。でも、何も分からなくて…」

50代の女性が、ご相談に来られました。

少し戸惑ったような表情で、
最初にこうお話しくださいました。

「叔母が亡くなっていたことを、後から知ったんです」

叔母様は、依頼主のお父様の妹にあたる方でした。


配偶者も子どももいない、“おひとりさま”の相続

叔母様には、

・配偶者なし
・お子様なし
・ご両親もすでに他界

という状況でした。

いわゆる「おひとりさま」の相続です。

さらに、叔母様には4人のご兄弟がいらっしゃいましたが、皆さま既に他界されていました。


「兄弟姉妹だけの相続」は、想像以上に複雑になることがある

相続では、

・配偶者
・子ども
・両親

がいない場合、
兄弟姉妹が相続人になります。

ただ今回のケースでは、
兄弟姉妹もすでに亡くなっていたため、
その子どもたち――つまり甥姪が、
代襲相続人として相続人になる状況でした。

依頼主様も、

「もう何年も連絡を取っていないいとこもいます」
「どこに住んでいるのか分からない人もいて…」

と、不安そうに話されていました。


「何から始めればいいのか分からない」

さらに大きな問題は、
叔母様の財産状況がまったく分からないことでした。

・どこの銀行を使っていたのか
・不動産はあるのか
・借金はないのか
・通帳や書類は残っているのか

突然の相続では、
「相続人が誰か」以前に、
全体像そのものが見えないケースも少なくありません。

依頼主様は、

「何から手をつければいいのか、本当に分からなくて…」

とおっしゃっていました。


まず行うのは「親族関係の整理」

今回、まず最初に行ったのは、
戸籍をたどりながら親族関係を確認する作業でした。

兄弟姉妹相続では、出生から死亡までの戸籍収集や、代襲相続の有無の確認など、通常の相続より調査範囲が広くなることがあります。

特に、
代襲相続が発生している場合は、
「誰が正式な相続人なのか」を正確に整理することが重要です。


「法定相続情報一覧図」を作成し、全体像を“見える化”

相続人の調査と並行して、
法定相続情報一覧図の作成も進めました。

法定相続情報一覧図とは、
戸籍の内容をもとに、
相続関係を一覧で整理した公的な証明書類です。

これを作成することで、

・金融機関での手続き
・相続人確認
・不動産手続き

などがスムーズになります。

何より、
複雑になっていた親族関係が整理され、
依頼主様ご自身も状況を把握しやすくなっていきました。


疎遠な親族への連絡も、慎重に進める

今回のケースでは、
長年連絡を取っていない親族も含まれていました。

突然、
見知らぬ親族から相続の話が届けば、
警戒されることもあります。

そのため、
事情を丁寧に説明した書簡を作成し、
ご協力いただけるよう、一つひとつ慎重に進めていきました。

相続は、
法律だけでは進みません。

相手の感情や距離感に配慮しながら、
“話を整えていくこと”も、とても大切です。


「専門家に相談して、ようやく整理できました」

依頼主様は、
ご相談当初、

「自分では到底無理だったと思います」

とおっしゃっていました。

兄弟姉妹のみの相続や、
甥姪への代襲相続は、
一般的な相続よりも複雑になることがあります。

だからこそ、

・相続人調査
・戸籍収集
・財産調査
・書類作成
・親族への連絡

を、順番に整理しながら進めていくことが大切です。


「おひとりさま」の相続で困るケースは増えています

近年、

・子どもがいない
・配偶者がいない
・兄弟姉妹も高齢化している

という「おひとりさま」の相続は増えています。

その結果、

・相続人が多くなる
・甥姪が相続人になる
・親族関係が複雑になる

ケースも少なくありません。


同じようなお悩みをお持ちの方へ

○叔父・叔母の相続で困っている

○甥姪が相続人になるケースが分からない

○疎遠な親族がいて進められない

○相続人調査をどこから始めればいいか分からない

○相続手続きを一人で抱えるのが不安

そんな時は、
どうぞ一度ご相談ください。

当事務所では、
単に書類を作るだけではなく、
複雑になった相続関係を整理し、
“今、何をすべきか”を一緒に確認しながら進めています。

「何から始めればいいか分からない」
そんな状態からでも、
一つずつ整理していくことはできます。

(2026年5月20日)



『遠方で暮らす高齢の母が心配…』〜“まだ元気”なうちに始めた家族信託という備え〜

「母に何かあった時、自分はすぐ動けるのだろうか」

首都圏にお住まいの60代の女性が、ご相談に来られました。

お母様は遠方で一人暮らし。
今のところ日常生活に大きな問題はないものの、年齢を重ねるにつれ、不安が少しずつ大きくなってきたそうです。

「最近、同じ話を繰り返すことが増えてきて…」
「もし認知症になったら、どうなるんだろうと思って」

離れて暮らしているからこそ、
小さな変化にも敏感になります。


遠距離介護への不安と、“もしも”の現実

依頼主様が特に不安に感じていたのは、

・認知症になった場合の財産管理
・振り込め詐欺や高額契約トラブル
・突然の施設入居
・遠方への頻繁な移動負担

でした。

もし急に施設入居が必要になれば、

・契約手続き
・入居費用の支払い
・自宅の管理
・銀行対応

などを、娘様が仕事を休みながら対応しなければならなくなる可能性があります。

「母のために動きたい気持ちはあるんです。でも、現実的に全部を一人で抱えられるのか不安で…」

そう話されていました。


「まだ元気な今だからこそできる準備があります」

そこで私からご提案したのが、家族信託でした。

家族信託とは、
将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、
あらかじめ信頼できる家族へ財産管理を託しておく仕組みです。

「認知症になったら、娘でも自由に預金を動かせないんですか?」

そう驚かれる方は少なくありません。

実際、判断能力が低下すると、

・銀行口座が実質的に動かせなくなる
・不動産売却が難しくなる
・施設入居費用の準備に時間がかかる

といった問題が起こることがあります。


家族信託で“将来の困りごと”を減らす

今回のケースでは、

・将来の財産管理
・施設費用への備え
・必要になった際の不動産対応

などを見据えて、家族信託をご提案しました。

家族信託を利用することで、
将来、お母様の判断能力が低下した場合でも、

・預貯金の管理
・必要な支払い
・介護や施設に関する費用対応

を、あらかじめ決めたご家族が進めやすくなります。

「何か起きてから慌てる」のではなく、
“動けるうちに仕組みを整えておく”ことが大切なのです。


「家族だけでは難しい」と感じることもある

家族信託は、
単に契約書を作れば終わり、というものではありません。

・誰を受託者にするのか
・どこまで管理権限を持たせるのか
・将来の介護や施設入居をどう考えるか

ご家族ごとに状況が違うため、
丁寧に整理しながら設計していく必要があります。

今回のご相談でも、
娘様は何度もこうおっしゃっていました。

「まだ元気な母に、どう切り出せばいいのか悩んでいて…」

家族だからこそ、
お金や老後の話は難しいものです。

だからこそ、
第三者である専門家が間に入ることで、
落ち着いて話を進められるケースも少なくありません。


「相談できる場所があるだけで安心しました」

ご相談後、依頼主様はこんな言葉をくださいました。

「今すぐ何かが起きるわけじゃないけれど、準備できることが分かって安心しました」

家族信託は、
“財産を動かすためだけの制度”ではありません。

遠方で暮らす親を想うご家族が、
将来への不安を少し減らすための備えでもあります。


遠方に住む親御様が心配な方へ

○高齢の親が一人暮らしをしている

○認知症への備えを考えたい

○将来の施設費用が不安

○遠距離介護に限界を感じている

○親のお金の管理をどうすべきか悩んでいる

そんなお気持ちがある方は、
どうぞ一度ご相談ください。

当事務所では、
制度の説明だけでなく、
ご家族の距離感や生活状況も踏まえながら、
“現実的に続けられる備え方”を一緒に考えています。

「まだ早いかな」と思う時期こそ、
実は一番準備しやすいタイミングなのかもしれません。

(2026年5月20日)



『私がいなくなったあと、この子は…』〜 親なきあと問題に向き合った82歳母の選択〜

「私がいなくなったあと、この子はどうなるのでしょうか」

82歳の女性が、静かにそう切り出されました。
その声には、不安と同時に、覚悟のようなものが感じられました。

ご相談の中心は、ご自身のことではありません。
57歳になる息子さん(Aさん)の将来についてでした。

「この子のことを考えると、夜、眠れなくなるんです」


軽い知的障害と強迫性障害を抱える息子さん

Aさんには、軽い知的障害と強迫性障害があります。

これまで一般企業に就職された経験もありましたが、
現在はグループホームに入所しながら、
B型就労支援施設で働いておられました。

すでに生活保護を受給されており、
日常生活は、福祉制度や支援者の力を借りて成り立っている状況です。


「今の生活が、ずっと続くとは限らない」

お母様が特に心配されていたのは、
この先、環境が変わったときのことでした。

・体調を崩して入院することになったら
・病院の都合で、グループホームを退去しなければならなくなったら
・手続きやお金の管理を、本人だけでできるのか

「そのとき、誰がこの子を守ってくれるんでしょうか」


頼れる親族がいないという現実

Aさんには兄弟が一人いましたが、すでに他界されています。

義理の娘やお孫さんもいらっしゃいますが、
関係性や距離を考えると、
将来を託すのは現実的ではありませんでした。

お母様は、こうおっしゃいました。

「誰かに迷惑をかけたいわけじゃないんです」
「ただ、この子が困らないようにしておきたいだけなんです」


「親なきあと問題」は、今から備えることができます

お話をじっくり伺ったうえで、
私からご提案したのが、成年後見制度の中の『補助人』という関わり方でした。

・財産管理や行政手続きのサポート
・福祉サービス利用時の調整
・入院や環境変化があった場合の対応
・将来の住まいや生活に関する判断支援

日常に近い部分から、継続的に支えていく体制です。


補助人は「必ず選ばれる」わけではありません

なお、成年後見制度における補助人は、
申立書において「候補者」として名前を記載することはできますが、
最終的に誰が選任されるかは家庭裁判所の判断となります。

そのため、相談した専門家が、
必ず補助人に選ばれるとは限りません。

今回は、Aさんの生活状況や、
継続的な支援が必要であることなどを踏まえ、
裁判所の判断により、結果として私が補助人に選任されることになりました。


さらに、お母様ご自身の「任意後見」も

あわせて、お母様ご自身についても、
任意後見契約を結ぶことになりました。

「自分の判断力が落ちたとき、
この子のことで迷惑をかけたくない」

その想いから、
ご自身の終活と、息子さんの将来対策を同時に整えることを選ばれました。


「一人で抱え込まなくてよかった」

手続きが一段落したあと、
お母様は少し表情を緩めて、こうおっしゃいました。

「全部、自分で何とかしなきゃいけないと思っていました」
「でも、誰かと一緒に考えていいんですね」

長年背負ってこられた重荷が、
少し下りた瞬間だったように感じました。


親なきあと問題は「親が元気なうち」にしか備えられません

親なきあと問題は、
備えられる時間に限りがあります。

・親が元気なうちだからこそ、選択肢がある
・本人の状態が安定している今だからこそ、準備ができる

そうした「今だからできること」を、
一つずつ形にしていくことが大切です。


同じような不安を抱えている方へ

○障害のある子の将来が心配

○親族に頼れない事情がある

○親なきあと問題を考え始めたが、何から手をつけていいか分からない

○自分の終活も含めて、まとめて相談したい

その不安は、決して特別なものではありません。

当事務所では、制度の説明だけでなく、
ご家族の状況やお気持ちに寄り添いながら、現実的な選択肢をご提案しています。

「相談してよかった」
そう思っていただける関わりを、これからも大切にしていきます。

(2026年2月4日)



母が元気な今だから決断できた“家族信託”という選択 〜将来の介護と自宅売却に備えた60代ご夫婦の事例〜

「この先、何かあってからでは遅いと思ったんです」

ご相談に来られたのは、50代のご夫婦でした。
少し疲れた表情の奥に、「今のうちに何かしておかなければ」という切実な思いが感じられました。

数か月前、ご主人のお父様が87歳で亡くなられたばかり。
長年連れ添った奥様(85歳)は、大きな喪失感の中で一人暮らしを続けておられます。

「今は元気なんですが、年齢を考えると……」
そう言って言葉を切られたご主人の表情が、とても印象的でした。


親の判断能力が低下したとき、子どもは何もできなくなる?

相談者ご夫妻は、お母様の家の近くに住んでいます。
日常の見守りはできているものの、将来、判断能力が低下した場合のことが不安でした。

・介護が必要になったらどうするのか

・施設に入る費用はどう工面するのか

・必要になったら、この家を売却できるのか

実は、親の判断能力が低下すると、子どもであっても自宅を売ることはできません。
よく耳にする「認知症になったら何もできなくなる」という状況です。

この点をご説明すると、ご夫妻は静かにうなずかれました。

「父の相続で大変だったから、同じことは繰り返したくなくて……」


◆任意後見ではなく「家族信託」を選んだ理由

お母様の財産を守る方法として、任意後見制度と家族信託の両方をご説明しました。

・任意後見は発動した後、監督人が就き裁判所の関与が強く、柔軟な対応が難しい

・家族信託なら、信頼の下に財産管理を家族に託せることができる

ご夫妻が選ばれたのは、家族信託でした。

「母が元気な今だからこそ、母の意思で決めたい」

この言葉が、家族信託を選ぶ決定打になりました。


◆三世代にわたる“想い”をつなぐ信託設計

今回の家族信託では、次のような設計を行いました。

〇委託者・受益者:お母様

〇受託者:相談者(お母様の長男)

〇後継受託者:相談者の長男(お母様の孫)

単なる財産管理ではなく、

「この家とお金を、どのように使い、誰につないでいくのか」

ご家族の想いを丁寧に言葉にして、契約書に落とし込みました。

打ち合わせの中で、お母様はこうおっしゃいました。

「私が分からなくなっても、あの子たちが困らないようにしたいの」


◆家族信託は「家族の安心」を形にする制度

契約が無事に完了したあと、相談者ご夫妻はほっとした表情を見せてくださいました。

「これで、いざという時に慌てなくて済みますね」

「母にも、ちゃんと説明できて良かったです」

家族信託は、

財産を守るための制度であると同時に、家族関係を守るための仕組みでもあります。


◆同じようなお悩みをお持ちの方へ

〇親が高齢で将来が不安

〇認知症になる前に備えておきたい

〇介護費用や自宅売却の準備をしたい

〇成年後見以外の方法を知りたい

このようなお悩みをお持ちでしたら、

「まだ早い」ではなく、「今だからこそ」できる対策があります。

当事務所では、制度の説明だけでなく、

ご家族の状況やお気持ちに寄り添いながら、最適な形をご提案しています。

どうぞ、お一人で抱え込まずにご相談ください。

 

(2026年1月10日)



簡単な相続手続

簡単な相続手続について、記事監修いたしました。

これを見れば、自分で相続手続ができると思います。

それでも、

・特殊なケースの場合

・自分達で進めるのが面倒くさい

・スピーディーに進めたい

等の場合には費用はかかりますが、専門家にお願いするときっと間違いがないです。

 

KW_ 相続手続 2900

(2026年1月5日)



045-563-2310045-563-2310

営業時間:平日10:00~18:00
(時間外・土日祝日は要相談)