母が元気な今だから決断できた“家族信託”という選択 〜将来の介護と自宅売却に備えた60代ご夫婦の事例〜
湯口行政書士事務所

「この先、何かあってからでは遅いと思ったんです」

ご相談に来られたのは、50代のご夫婦でした。
少し疲れた表情の奥に、「今のうちに何かしておかなければ」という切実な思いが感じられました。

数か月前、ご主人のお父様が87歳で亡くなられたばかり。
長年連れ添った奥様(85歳)は、大きな喪失感の中で一人暮らしを続けておられます。

「今は元気なんですが、年齢を考えると……」
そう言って言葉を切られたご主人の表情が、とても印象的でした。


親の判断能力が低下したとき、子どもは何もできなくなる?

相談者ご夫妻は、お母様の家の近くに住んでいます。
日常の見守りはできているものの、将来、判断能力が低下した場合のことが不安でした。

・介護が必要になったらどうするのか

・施設に入る費用はどう工面するのか

・必要になったら、この家を売却できるのか

実は、親の判断能力が低下すると、子どもであっても自宅を売ることはできません。
よく耳にする「認知症になったら何もできなくなる」という状況です。

この点をご説明すると、ご夫妻は静かにうなずかれました。

「父の相続で大変だったから、同じことは繰り返したくなくて……」


◆任意後見ではなく「家族信託」を選んだ理由

お母様の財産を守る方法として、任意後見制度と家族信託の両方をご説明しました。

・任意後見は発動した後、監督人が就き裁判所の関与が強く、柔軟な対応が難しい

・家族信託なら、信頼の下に財産管理を家族に託せることができる

ご夫妻が選ばれたのは、家族信託でした。

「母が元気な今だからこそ、母の意思で決めたい」

この言葉が、家族信託を選ぶ決定打になりました。


◆三世代にわたる“想い”をつなぐ信託設計

今回の家族信託では、次のような設計を行いました。

〇委託者・受益者:お母様

〇受託者:相談者(お母様の長男)

〇後継受託者:相談者の長男(お母様の孫)

単なる財産管理ではなく、

「この家とお金を、どのように使い、誰につないでいくのか」

ご家族の想いを丁寧に言葉にして、契約書に落とし込みました。

打ち合わせの中で、お母様はこうおっしゃいました。

「私が分からなくなっても、あの子たちが困らないようにしたいの」


◆家族信託は「家族の安心」を形にする制度

契約が無事に完了したあと、相談者ご夫妻はほっとした表情を見せてくださいました。

「これで、いざという時に慌てなくて済みますね」

「母にも、ちゃんと説明できて良かったです」

家族信託は、

財産を守るための制度であると同時に、家族関係を守るための仕組みでもあります。


◆同じようなお悩みをお持ちの方へ

〇親が高齢で将来が不安

〇認知症になる前に備えておきたい

〇介護費用や自宅売却の準備をしたい

〇成年後見以外の方法を知りたい

このようなお悩みをお持ちでしたら、

「まだ早い」ではなく、「今だからこそ」できる対策があります。

当事務所では、制度の説明だけでなく、

ご家族の状況やお気持ちに寄り添いながら、最適な形をご提案しています。

どうぞ、お一人で抱え込まずにご相談ください。

(2026年1月10日)



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